New Blog Posted!シアトルに約50件ほどあるコープ。主にQueen AnneとCapitol Hillにあり、外から見るとコンドミニアム(以下コンド)の様ですが、コンドとは所持権から運営方式まで全く違います。購入を考えるならその違いを予めしっかり理解しておく必要がありますので、今回はそのよく知られていないコープの主な形態をお話しします。 コーポラティブ(Cooperative Apartment, 省略してコープ)コープとはアメリカの不動産では共同所有の集合住宅のことを意味します。日本でも集合住宅にコーポ(コープの和製英語)と名が付いているところもありますが、それはあくまでも名前の一部なだけで特別な形態を意味するわけではなく、アメリカのコープの方式と全く異なります。 ![]() シアトルでコープは主にQueen AnneとCapitol Hillに1900年から1950年の間に建てられ、その多くがとてもチャーミングなClassical RevivalやArt Decoスタイルの建築です。 と言っても始めに話した様に、シアトルにはコープは50件ほどしかありませんので、似たような外観でも殆どがコンドに該当します。外観からだけではコンドなのかコープなのか判断しにくいのが現状ですが、コンドの中には建物の名前が「ABC Condominiums」や「ABC Condos」などヒントのあるところも多いです。 コープの所持権と購入の意味コープの不動産全体をオーナー全員で所持し、各オーナーの所持率はユニットの持つ株(ストック)の数に比例して分割されています。大きなユニットはその分株数も多く、コープの所持率も高いわけです。従って分かりやすい例ですと、どこかの企業(コーポレーション)の株を購入して株の分だけその企業のオーナーシップが得られるのと同じことです。 ![]() コープのユニットを購入する場合、コンドの様にユニットだけを不動産として買うのではなく、コープの株主になり特定のユニットを個人使用する権利を買い、そのユニットを賃貸することになります。そのため売買の際は不動産売買契約書の他、ユニットの賃貸契約書も取り交わされ、コープとの関係は日本の借地借家法に似た家主と借主用の法律に則っるものになります。ここがコンドと大きく異なる点です。固定資産税はコープ全体に課され、各オーナーが自分の割合分を支払う義務があります。 コープの購入は厳密には不動産購入ではなく共同体の一部を買うのでコンドのように普通の住宅ローンは通用しません。他の複数のオーナーによって組まれているローンに付随してコープ全体にかかる包括的担保(Blanket Loan)を組むことになります。ローンの支払いは自分の負債分ですが、担保になっているのがコープ全体の不動産のため、極端な例ですが誰かが支払い滞納で差し押さえになった場合、コープ所有の不動産全部を取られるわけで、それは勿論他の住人のユニットも含まれているのできちんと支払いをしている他の住人にも被害が広がる結末になり兼ねないわけです。頻繁に起こり得ることではありませんので、実際にこの様な事態に巻き込まれたことのある人を探す方が難しいくらいですが、コープの購入を考える人は把握しておくべきです。 コープでの貸し出し貸し出したい場合、コープの場合は自分自身が借主であるため、ユニットを他の誰かに貸すことは「また貸し」になり、認められていない場合が殆どです。稀に許可があっても期間限定だったり家族のみに対してだったりで貸しにくい状況になっています。従って投資目的には不向きです。 売却したい時売却する場合は、多くの場合まずコープ内で自分のユニットを購入したい(厳密にはユニットの使用権を購入したい)住人がいるかを確認し(The right of first refusal)、誰もいなければ売却の旨をエージェントを通した売却方法で一般公開することが許可されています。購入者が見つかったら、購入者はコープの代表との面接をしてコープの一員になる承認を得なければなりません。これは申込者がコープの規約にそう意志があるかの判断の目的でもありますが、支払い能力が乏しい人だったり過去に滞納の傾向があった人だったりしたら、コープは共同所持のため他のオーナーにも滞納分の支払い責任がかかってくる可能性があり、それを極力避けるための意図があります。 コープの利点![]() 以上の様に違いを述べるとコンドの柔軟性のほうが勝って聞こえるかもしれませんが、コープにも多々の利点があります。例えば、コープの存在を知らない人や、コープの形態が理解できず避けてしまう人が多いため、同じ大きさのユニットでもコンドよりも多少安価だったりします。それからコープは組合の審査をパスした人のみがメンバー(住人)になれること、メンバーのみが住んでいるため非居住者は一目瞭然であることからセキュリティー面で長けていて、しかも団体意識が強く全て共同所有のため施設を大事に扱う傾向もあり、住人がお互いを知っている小さなコミュニティー感覚や安心感を求める人には最適な環境だと思います。だからと言って近所付き合いを強いられるわけではありませんので、孤立を優先するかたでも問題ありません。 シアトルでコンドの購入を考えているかた、コープも考慮範囲に入れてみてはいかがですか?特に1900年代前半のチャーミングなレンガ造りの建物に憧れるかたにはコープに良いものがあるかもしれません。まずはコンドとコープの違いや利点欠点をよく比較して、どちらがご自分に合っているかをじっくり判断することですね。 |
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March 2025
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